前略、いっておいでよ

by shojiro.nkym

朝起きたら窓からの光がピンク色だった。
寒いのを覚悟で開けたら、見たことない鮮やかな朝焼け。

しかし、やっぱり寒い。
ピシャッと窓を閉めて5秒考えた。

「行くべきか、行かぬべきか」寝起きで寝癖だらけの頭、顔もまだ洗ってない。
だけど、この朝焼けは次いつ会えるのかわからない。

「こんな早朝、人なんてほとんどいないでしょ。」
と、パーカーの上にウールのコートを羽織り、マフラーをぐるぐる。深く顔を埋めるくらいに巻き巻きにして、下は寝ていた時に履いていたスウェットのままでとにかくあの空を写真に残すために家を飛び出した。

「冬はつとめて」

と清少納言は枕草子で言ってたっけ。
あんまり真面目に勉強してこなかった割に、印象に残っていたのが意外だった。
しかし全く上手いこと言う。着眼点が真っ当に言い当ててる。
当時の朝はどんな風景だったのだろうか。
彼女はどんな朝を眺めていたのだろうか。
遥か昔、1000年以上も前のことなんて想像もつかない。
でもきっと、空の色は同じように美しかったに違いない。
と思いながら、慌ててマンションを飛び出して、写真を何枚か撮って歩いた。
柔らかいけれど、精彩な朝焼けは胸を打つものがある。

10分もしないうちに淡いピンクはすっかりと消え去り、いつも通り、白々とした朝の空。
早起きした人だけが見ることを許される特別な景色は消えていくのもあっという間だった。

早起き、してよかった。

随分と寒くなりました。
これからは朝焼けが綺麗な季節。
暖かい布団から抜け出せない朝が来るな、と思いつつも、平安時代の人気ライター清少納言先生曰く、「冬はつとめて」なのだから、朝の美しい一瞬を楽しむためだけに早起きするのも悪くはないのかもしれないです。